背泳ぎパンダ

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たま鑑
今回は、本当にプライベートなお話です。
「校長ブログ」としていいの?といわれそうですが、お許しください。

先日、娘が下北沢の雑貨屋さんでプラスチックのパンダのおもちゃを買ってきました。
後ろにヒモがついていて、そのヒモが巻き取られる数秒間だけ、手足をバタバタさせる、というおもちゃです。
申し訳ないけれどお粗末なおもちゃで、「なんでこんなもの、買ってきたの?」と聞くと、「懐かしくて…」という返事。
なるほど、彼女が子どもの頃、我が家にはお風呂用おもちゃ箱があり、
彼女は同じようなヒモを引っ張ると泳ぐアヒルのおもちゃが大好きだったのです。

我が家の2人の子ども達が小さい頃、
私が仕事の都合で遅くなる時は、実家の母に預かってもらうのが常でした。
週3回、「ばばちゃんとごはん」も珍しくなかったのです。
実家から子どもを引き取って帰り、最初にすることは一緒にお風呂に入ることで、これは私にとっては何よりの癒しの時間でした。

髪を洗ってやったり、からだを流してやったりしているうちに、
子ども達が幼稚園や学校でおきた一日の出来事を報告。
私は「ふんふん」と聞いているだけなのですが、
子ども達はそれが嬉しいらしく、お風呂を楽しみにしていました。
1人が話している間、あるいは3人で一緒に遊ぶおもちゃとして、
お風呂おもちゃは我が家では大切だったのです。

それは、お湯に入れると色がかわる人形だったり、
おなかを押すと水がふきでる動物だったり、
ビニール製の本だったりしましたが、
お風呂でのスキンシップの一翼を担ってくれたことは確かです。
ですから、彼女にとって、お風呂おもちゃは親子のコミュニケーションの象徴だったのでしょう。

子ども達と3人でおふろに入る習慣は、さすがに息子が5年生になったときにやめましたが、娘とは今も時々。
今は逆に、私が愚痴を聞いてもらっています。

さて、このパンダを持って、いざお風呂へ。
ヒモをひっぱりお湯に浮かべると、数秒間バタバタと背泳ぎを開始。
しかし、すぐに浴槽の縁にぶつかり、跳ね返されます。
すると今度は向きを変えて別の方向へばしゃばしゃ。
やがて、動きが徐々に緩慢になり、ぴたっと動かなくなりました。

単純なおもちゃなのに、なぜかほほえましい。
仰向けなので、先の見えない泳ぎを精一杯やっている。
すぐそこに壁があるのも知らずに。
なんだかいじらしくなり、水をきってシャンプーの棚に並べました。

私たちも、予測のつかない人生を一所懸命にあがいて生きていきます。
「ヒモが巻き取られる間だけ」という時間制限があるところも同じ。
しかし、先が見えないからこそ、希望をもって頑張ることができるのかもしれません。



                お風呂に浮かぶ「背泳ぎパンダ」