『アンナの土星』

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たま鑑
中学入試が一段落しました。
頑張った受験生の皆さん、お疲れ様。

「頑張る」という言葉の中身には、「我慢する」という部分が多く含まれていると思います。(もちろん、希望や歓びもありますが。)
「頑張って!」と色々な人から声援を受け、「よし、頑張るぞ!」と決心した時から、ある部分の我慢が必要になります。
遊びたい自分、テレビを見たい自分、マンガや本を読みたい自分…
そんな自分を抑えることが、「頑張る」ことでもあるのです。
つまり頑張ることは、人との競い合いではなく、自分との闘いなのです。
結果はどうあれ、頑張った人は我慢する経験をたくさん積んだ人。
きっとこの経験で大きく成長していることでしょう。


さて、今年度第1回の国語の問題は『アンナの土星』という小説でした。
作者は益田ミリさん。イラストレーター、漫画家でもある方です。
(メディア・ファクトリー刊)



14歳のアンナは、両親と天文学好きのお兄ちゃんとの4人暮らし。
(このお兄ちゃんと、毎晩星を見ながらする会話がとても良いのです)
ごく普通の、三輪田にもいそうな中学生の女の子です。
物語は、アンナの周りでおこる日常的な出来事を、
14歳の瑞々しい視点で描いています。
お母さんとのいざこざ、学校での友だちとの関係…
読んでみると、「私と同じ!」と感じる人が多いのでは。

出題されたのは、ピアニストに花束を渡すクラス代表を決める場面。
ふさわしい人を投票で決めようということになったのですが、
アンナにも親友のみずきにも一票も入りませんでした。
みずきも自分に入れてくれなかったことに煩悶するアンナのところに、
みずきが訪ねてきてこういいます。

「あのね、アンナ。わたしたちっていいなって思ったの。
 だって、わたしたち、わたしたち以外の世界の子たちもいいって
 思えるんだから」

14歳。
私は14歳の時、何を考えていたのだろうかと懐かしく思います。
私が14歳だった1972年、浅間山荘事件がおきて
学生運動が急速に終熄に向かっている時期でした。
少しませた社会科好きの仲良しグループの一員だった私は、
「自分たちが40歳を過ぎる頃、21世紀がやってくる。
 その時、日本は、世界は、自分たちはどうなっているのだろう」
と話し合っていました。

気がつけば、とっくに21世紀。
あの時描いていた未来予想図とは少し違う自分があり、
社会も大きく変わっています。

14歳。
アンナは「14歳だからじゃない」といいますが、
振り返ってみて、14歳でなければ感じられない何かがあると思います。

『アンナの土星』ぜひ読んでみてくださいね。