スペシャルな一日

投稿日:

たま鑑
昨日は朝からてんやわんやの大騒ぎでしたが、
スペシャルな行事や経験ができた一日でした。

まず午前中は約50名の受験生と、入試の過去問を一緒に解くという学校広報の企画『校長と入試問題にチャレンジ』がありました。
6年前の入試問題の1回分の中から、国・算・社・理の一問ずつを選び、その場で解いてもらいます。
その後解説していきますが、受験生を指名して応えてもらうことはしていませんので、ご安心ください。
元々私は社会科の教員なので、社会は自分も参加して作った問題なので自信がありますが、その他の教科については夏休み中にしっかり予習をしておきます。
大人にとっては「常識でしょ」ということでも、小学生が理解しているか確認するのは難しいことですね。
塾の先生や小学校の先生には、本当に脱帽です。
今回取り上げた平成18年度の問題で、国語は世界の水不足をテーマにした文章、社会は世界自然遺産から発展してナショナルトラストを答えさせる問題でした。
どちらも出題の視点が似ており、三輪田の先生方の興味関心は同じ方向性を持ったものなのだなあ、と今更のように感心しました。
参加した受験生の皆さんの手応えは、まずますだったようです。

1時には昨日のメイン・イベント卒業生による講演会の講演者・尾崎順子さんがお見えになり、講演のための準備。
2時からはいよいよ講演会スタートです。
尾崎さんの同級生の方々や保護者、受験生の親御様、一般の方、生徒など、多数ご参加いただきました。


尾崎さんは映像翻訳のディレクターであると同時に、演出もなさっています。
今回はまず映像翻訳について、尾崎さんが手がけた作品を見ながらお話を伺いました。
英語版の映像を日本語吹き替えする場合、どういう声質の声優さんに依頼するか、視聴者との距離感をどのようにするかということを考えることが、とても重要だそうです。
たとえば、英語の1人称は「I」だけですが、これを日本語にするとき、「わたし」にするか「僕」にするか「オレ」「わし」にするかで、作品のイメージが全く変わってしまいます。
アニメの吹き替えでも、「え、こういう声なの?」と違和感があることがありますが、それはドキュメンタリーでもドラマでも同じ。
視聴者が画面から受けるイメージにあわせた音声にならなければ、成功といえないでしょう。
また、映像翻訳の場合、吹き替えと字幕がありますが、
字幕には1秒間に3~4文字という制約があるため、むしろ吹き替えの方が原作の内容を正確に翻訳できると聴き、驚きました。
私は外国映画を見るときはたいてい字幕のものを見るので、なるほど、そういうこともあるのか、と感心しました。
今後3D映画が増えると、字幕の映画は減るのではないか、ということも仰っていらっしゃいました。

吹き替えの際、声優さんにどういう風にアフレコを入れてほしいかの演技指導をするのが演出家としてのお仕事です。
プロの声優さんは何パターンもの声を出すことができ、1作品の中で何役かを受け持つこともあるとか。
そういう声優さんが何人もいる中で、整理しながらそれぞれの役作りを指示していくのは大変なことでしょう。

尾崎さんはお母様も伯母様も三輪田の卒業生です。
お祖母様が子どもの受験に際し、東京中の女学校を探しまわった結果、
お二人のお嬢さんを三輪田に入学させたとのこと。
尾崎さんご自身は、最初神戸の女子校に入学したのだけれど、お父様の転勤で東京にこなければならなくなり、その時お母様が迷わず「母校へ」と決められたそうです。
在学中から演劇が好きで、演劇クラブには入っていなかったものの、
自主制作の映画をつくったりなさっていたとのこと。
しかし、これといって進路の決め手になるものがなく、迷っていたときに、
担任の先生から「あなたは早稲田の演劇に行きたいのかと思っていたわ」といわれ、開眼。
この先生の一言が、尾崎さんの今日を決めたのです。

考えてみれば、私も同じです。
父の「おまえは三輪田に行け!」の一言で三輪田生になり、
さらに、三輪田の先生に「あなた、日本史の先生になりなさい」といわれなければ、今ここでこんなブログを書いていないのです。

中高の6年間は、本当に、生き方の基礎が決まる大切な時期だなと改めて感じました。
多くの人と出会い、交わり、その中から自分の生き方を見つけていく。
大學受験だけが進路ではなく、その後も続く長い人生を生きるための出会いや経験がなければ、この6年間はあまりにもったいないと思います。
そのことを改めて考えさせてくれた講演会でした。
尾崎さん、素晴らしい講演をありがとうございました。

その後は、ばたばたしていたらあっという間に6時。
虚心亭で落語会が始まりました。
この段階でもうヘロヘロでしたが、落語が始まるとその世界に引き込まれ、
噺の中に出てくる長屋のおかみさんの一人になった気分に。
金原亭駒松さんの開口一番から、隅田川馬石師匠、むかし家今松師匠と続きます。
今回は今松師匠の「江島家」という怪談話がメイン。
たっぷり聴かせていただきました。
会場の虚心亭は和室で、ちょっと薄暗い雰囲気がこの噺にはぴったりでした。
11月にもまた落語会がある予定です。

というわけで、本当に忙しい一日でしたが、スペシャルな、充実した一日でした。