犬と猫と人間と 2

投稿日:

たま鑑
昨日の日曜日は昼頃受験生たちの激励に出かけ、
三輪田での6年間と入試について語ってきました。
2週に分けて過去問を解いて、塾の先生に解説をしていただくとのこと。
受験生の皆さん、あと2ヶ月半、ベストを尽くしてくださいね。
でも、中学合格が皆さんのゴールではありません。
皆さんが中学・高校で充実した6年間を過ごすあいだに、皆さんにとっての本当のゴールがだんだん見えてくるのです。
大学入試だって、ゴールへの道のりのほんの一部。
つまり、中学入試は皆さん一人一人の道がどこへ向かっていくのかを見つけるためのスタート台に立つ、ということです。
まずはスタートに立って、皆さんの未来をしっかり見てみましょう。
そのために今、「頑張る!」という気持ちが必要です。

さて昨日はこの後、かねてから楽しみにしていたドキュメンタリー映画を見に行きました。
「犬と猫と人間と 2」という映画です。
三輪田での2学年先輩の方からのお誘いでした。
この方は、お仕事の傍ら、殺処分されてしまう野良猫や犬の保護や、動物愛護のボランティアに関わっていらっしゃいます。
昨年、今年と学校近くの一口坂ギャラリーで「震災に消えた小さな命展」という絵画展が開かれ、学校にもポスターを貼っておきましたが、
これもこの方たちの活動の一環です。

私は今年4月はじめに石巻から南三陸に行き、まる2年たっても癒えない震災の傷を見たように思いました。
しかし、震災の時命を落としたのは人間だけでなく、犬や猫、家畜たちも同じでした。
家族同然と思っている動物たちとともに避難所に逃げてきて、動物の入室を断られた結果、動物たちは津波にのまれてしまったというケースもたくさんあったのです。
逆に、家族がいなくなってしまって、行き場をなくしてしまった動物たちもたくさんいたはずです。

「犬と猫と人間と 2」は、動物たちの大震災というサブタイトルがついています。
監督の宍戸大裕さんはもともと東北のご出身。
震災直後から石巻に入り、ボランティアをしながら記録のための映像を撮り続けてきました。
この映画は「2」なので、もちろん1の「犬と猫と人間と」があります。
こちらは3年前に飯田基晴監督が撮影したドキュメンタリーで、
殺処分される犬や猫の現状を訴えた作品でした。
三輪田では、高2の社会映像の時間に鑑賞しました。
宍戸さんは飯田監督のお弟子さん。
飯田さんのつながりで、石巻の動物愛護ボランティアの方を訪ねるところから、被災地の動物たちとの関わりが始まります。

津波でいなくなった愛犬を必死で探しているご夫婦がいる一方で、
引き取る人もなく、NPOの保護のもとで中でひっそり息を引き取る動物たちも。
人の命も、動物の命も、重さに違いがあるのだろうか、と考えてしまいます。

今回の震災のもう一つ大きな点は、やはり原発事故です。
立ち入り禁止区域に指定された福島県東部には、多くの犬や猫、また牛・豚・鶏などの「経済動物」が多数いたということ。
豚や鶏はほとんどが殺処分されたそうですが、犬や猫、牛は放置されているケースが多く、
その動物たちの世話のために、多くのボランティアの方々が尽力する姿がこの映画で紹介されます。

福島の牛舎では、つながれたまま死んだ牛の死骸が累々と重なり、
かろうじて生き残っている牛もやせ細って死を待つ状態です。
そんな牛の目から、涙がぽろっとこぼれます。
「人の勝手で自分たちは遺棄されている。」と言いたいのでしょう。

そんな牛たちを集め、敢えて立ち入り禁止区域で牧場を続ける人の姿も出てきます。
この牧場で育った牛は、もはや「商品価値」はありません。
けれども経済価値がないからといって、人が奪って良い命などないはず。
このような大きな災害の時、人が生きることを最優先にするのは当然かもしれませんが、だからといって、この現状が放置されていていいのだろうかと、強く感じました。

監督の宍戸さんは30才そこそこの若者です。
「最近の若者は…」的な言説も聞かれますが、実は若者たちは私たちが作ってしまった社会を、しっかり捕らえているのかもしれません。
薄まりつつある震災の記憶を、こういう形で残しておくというのはとても大事なこと。本来は私たちの世代がすべきことでしょう。
こういう生き方を選ぶ若者がいるということに感激しました。
多くの人に見てほしい映画だと思いました。

この映画と同時に福島で保護された猫たちの里親捜しもしていました。
動物たちにとっても、震災の傷は癒えていないようです。