終業式で「芝浜」

投稿日:

たま鑑
早いもので、もう2学期の終業式。
2013年もまもなく終わりです。
富士山の世界遺産登録や東京オリンピックの招致など、華やかな話題がある一方で、世界的に自然災害が多く、犠牲になった方々も少なくなかった年でした。
また、やなせたかしさんやネルソン・マンデラさんなど、自由と平和を愛し、大きな足跡を残した方が亡くなられた年でもありました。

これから日本は、世界は、どのように変化していくのでしょう?
私たちはこの変化にどう対応すればよいのでしょう。
今日の終業式の式辞では、そんなことを踏まえて話をしましたが、
その中で紹介したのが、先日虚心亭で開かれた落語会でのお題「芝浜」です。

「芝浜」は魚屋の勝五郎とその女房の話。
腕はいいけれど酒に溺れて仕事をしない勝五郎が、女房に説得されて嫌々魚河岸に出かける途中、芝の海岸で大金の入った財布を拾う。
急いで家に持って帰り、また酒を飲んで一眠り。
目がさめると、女房に「財布を拾ったなんて、夢の話」ときっぱり言われ、
半信半疑ながらも、それからは酒を断ち、心を入れ替えて商売に励みます。
やがて少しずつ蓄えもでき、店を持ち、使用人も使えるようになりました。
3年後の大晦日の夜。
女房から「実は、財布を拾ったのは現実だった」と告白され、
奉行所から持ち主不明として下げ渡された大金を目の前に出されます。
さて、勝五郎は…?

いつも落語会に来てくださる高校生のお父様から、
「この噺を聴いた後、仕事頑張ろう!という気持になりました。」というメールをいただきました。
一攫千金ばかりを願う今の世の中、
「地道にこつこつが結局一番」と私も伝えていきたいと思い、
終業式の式辞にこの話をしたのでした。

それにしてもこのところのニュースを見ていると、
子どもたちに「こつこつ頑張ることが一番」とは言い難いようなものばかり。
「こつこつ地道に積み上げたものが最高の財産」という価値観は、大人の中にもなくなってきているのかもしれません。


さて、終業式ではわざと話さなかったこの落語の「落ち」ですが…

女房にあの「夢」は現実だったと聞かされた勝五郎は考えました。
あのままお金を使ってしまえば、ばれて捕まっていたかもしれない。
また、捕まらなかったとしても、「悪銭身につかず」ですぐ使い果たしてしまったことだろう。
むしろ女房のしてくれたことに感謝しようと思ったのでした。
あれ以来酒を断っていた勝五郎に、女房から「すべてわかったんだから、一杯お酒を呑むかい?」と勧められ、勝五郎は…

「よそう。また夢になるといけねえ。」