私の、先生

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たま鑑
先日、私の尊敬する砂崎葉末先生がご逝去されました。
私が三輪田の生徒だった頃、大好きだった先生です。
享年93才でした。

砂崎先生は日本史の先生です。
もともと歴史オタクだった私ですが、
砂崎先生の導きで、大学受験のための手段としてではなく、
学問としての歴史を学び、それが現在の自分を作ったと思っています。

授業内容以外のことでも、知りたがりの私はしつこく質問し、
時には大胆にも論戦を挑むように、中世から近世にかけての朝幕関係についてなど、長時間お話ししたりしました。
また、大正生まれの先生は、戦争中大連の女学校で教鞭を執られていたことがあり、その時のお話や、引き上げの時のことなど、苦い思い出と共に話してくださいました。
1975年に蒋介石が亡くなった時、またその翌年に周恩来が亡くなった時、「これから歴史がどう動いて行くか、見定める必要があるわね」と仰っていたのを思い出します。

ご自分が引退なさる時、私を三輪田にと言ってくださったのも砂崎先生でした。
1年間講師としてみっちり仕込んでいただき、
それから私の三輪田での教員人生が始まりました。

校長になった時も「あなた、しっかりおやりなさい」と砂崎先生らしい厳しい御言葉で励ましてくださいました。
いつでも、どこからか見ていてくださるという安心感が私を支えていました。
3年前の夏、私が中1の生徒を連れて追分宿の散策をしている時、
近くの別荘にいらした先生がわざわざ宿場まで来てくださり、
生徒たちに「私の先生ですよ」と誇らしく紹介したことを思い出します。

教員が一人の生徒の成長に係わることができるのは、ほんの僅かな時間です。
しかし、その関わりが生徒の一生に大きな影響を与えていくことはあるのだと思います。
だからこそ、私たち教員は常に姿勢を正し、一人一人にきちんと向き合っていかなければならないと思います。
私が砂崎先生の授業を受けたのは高校3年の時だけでしたが、
その1年間で、私は自分の生き方が方向付けられたと思っています。
ですから、砂崎先生は「私の、先生」なのです。

背筋をピンと伸ばした、凜としたお姿をこれからも追い続けていきます。