講演会『物語が生きる力を育てる』

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たま鑑
昨日は保護者会。
三輪田では保護者会は年に5回(学年によっては4回)ありますが、
6月と11月の保護者会は、父母の会総会や講演会などがあり、生徒は自宅学習となります。
昨日は学級懇談会の後、保護者対象講演会があり、300名近い保護者の皆様が参加してくださいました。
今回の講演会では、児童文学の研究家、翻訳家の脇 明子先生にお話を伺いました。
脇先生は長いこと岡山のノートルダム聖心女子大学で教鞭を執られ、読書と子どもの発達について、多くの御著書がおありです。
また、児童文学の翻訳家としても著名な方で、岩波書店から出版されている『不思議の国のアリス』は、私も子どもに買い与えた一冊でした。

先生はきびきびした口調でテンポよく講演をすすめられ、今回のテーマ『物語が生きる力を育てる』をわかりやすく、具体的に話してくださいました。

先生が読書の効力として一番にあげられたのは、良い読書は思考力や想像力、記憶力などを伸ばすことができるということです。

本を読んでその物語の中に入り込んだ瞬間、五感のすべてが物語の中で動き題し、物語に鮮やかな彩りが生まれたり、匂いや味、触感までもが浮かび上がってくる体験は、本当に楽しいものです。
映像作品からは受けることのできない刺激で、まさに「夢中」…
そういう読書体験をお持ちの方も多いはず。
逆に、原作を読んだ後、アニメ化や映画化された作品を見ると、自分の想像していたのとギャップを感じることがあります。
映像やゲームの中の人物や出来事は、すでに出来上がった情報として頭にインプットされてしまうからでしょう。
これは読書がいかに想像力を育てるかを、端的に表しているのではないでしょうか。
本の世界の中では、私自身が主人公。
自分目線で物語を進めていくことができるのです。

次に先生は、しっかり書かれた物語を読むことで、自分は何者かという自己認識力を育てることができるとおっしゃいました。
不快感情や揺れる心を物語の主人公と同化しながら解決していくことで、自然に自己コントールをする術を学ぶと。
とすると、良い物語は思春期を乗り切るためのアドバイザーですね。

さらに、しっかりした物語を読むことで、書き言葉を身につけることができ、書く力も育ち、書くことが楽しくなるともおっしゃいました。
三輪田学園では40年来読書教育をおこなっていますが、
お話を伺って、三輪田の読書教育を後押しして頂いたようで、とても心強く感じました。

バーチャルな世界や目で見るだけでわかる映像にも、もちろん良さはあります。私は映画やアニメーションも大好きです。しかし、映像などの受容しやすい情報だけに頼っていると、物事の真偽を見抜く目、批判する力も育たないと思うのです。

たくさんの本を読み流すのではなく、しっかりと書かれた物語をじっくり読む。
きちんとした読書をしないと、自己認知力も育たないというお話、保護者の皆様にも納得して頂けたようです。