奴雁

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たま鑑
徳島県では大変な降雪で、孤立集落や亡くなった方もあったそう。
夏は猛暑、集中豪雨、冬は積雪。さらに火山の噴火。
地殻や気候などの変動期に入ったということなのでしょうか。
これから日本で生きていくということは、災害と隣り合わせで生きる覚悟が必要なのかもしれません。

天災は避けることができないにしても、予見できるリスクは最小限にすべきでしょう。
原発事故で多くの人が故郷を失った福島にも、容赦なく冬はやってきます。
以前にも紹介した、南相馬の卒業生からメールが来ました。  
「私の同僚の飼ってた猫です。その同僚も避難し、今は家が無く仮設に住んでいます。仮設で猫は飼えないので、時間がある時に猫にエサをあげに帰ってるのです。猫は車の音を聞きつけてかけよってきて、しばらく離れませんでした。私達が帰るときも見送るのです。
一緒に働いてる看護師さん達、抱えてるものが沢山ありますが、普段決してそれを見せないのです。それにはただ感服するばかりです。でもこうやって抱えてるものの大きさをみると、やりきれない無力さをただ感じるのです。私はこの人達に家を建ててあげられるわけではないし、失くしたものを取り戻してあげられるわけではない。何もできないのです。でもただ一つ、私がその人達に対して誠実であること、それだけはブレずにやるしかないだと思います。それぞ、誠の他に道なしですね..。」


まもなく総選挙ですが、選挙の争点は経済絡みで、震災復興はどうなるのでしょうか。
最近めっきり猫好きになった私には、この猫が、
「おい人間、この先どうする気なんだ?猫のいのちなんて、どうでもいいと思っていないか?」と訴えているように思えます。
この猫の目を、しっかり覚えておかねば。

この日はもう1人、卒業生からいのちについて考えるメールをもらいました。
ホームページで活躍する卒業生として紹介されている添田さんからのメールでした。
添田さんは慶應義塾大学の看護医療学部で学生の指導をしていらっしゃいますが、大学のHPに特集が載ったので、ごらんください、とのことでした。皆様もぜひご覧ください。

http://www.keio.ac.jp/index-jp.html

この記事を読んで、移植医療は人と人との絆を紡ぐ医療なのだと、改めて思いました。

「医学の進歩が目覚ましい中で、学生たちには、患者をきめ細かに看(み)る感性を磨き、患者の良き見張り役となれるような奴雁(どがん)の視点を持った、優しい看護者に成長してほしいと願っています。」と添田さんは文章を結んでいます。
奴雁とは、雁の群れを率いるリーダーのこと。
先を見通し行く手を定める目と、仲間がはぐれないように、仲間一人一人を見守る温かいいたわりのまなざし。
両方を合わせもった者が奴雁となるのでしょう。
このチカラは、看護師さんだけに求められるものではありません。
三輪田の生徒たちにも、奴雁の資質を身につけて巣立っていってほしいと願っています。
やっぱり、ベースは「誠のほかに道なし」です。