完璧をめざさないほうが

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shin-no-michi
 先日(1/27)放送されたクローズアップ現代、ご覧になった方はどれくらいいるでしょうか。昨年亡くなった詩人の吉野弘さんについての特集でした。

 吉野弘さんについて(Wikipedia)

 吉野弘さんは戦後世代を代表する詩人の一人です。高校生の皆さんは、高1の教科書に掲載されている「I was born」を通じて知っている人が多いと思いますが、一般によく知られているのは「祝婚歌」のようです。姪御さんの結婚式に出席できなかった際、代わりに書き送った詩で、出席者はもちろんそれを聞き知った多くの人々の共感を呼びました。今では結婚式のみならずさまざまな場面で引用され、親しまれています。
 吉野さんはこの詩を「民謡」と同じだと言い、作者不明の民謡に著作権がないのと同様、この詩も自由に使ってほしいとある対談で述べています。というわけで安心して……

 完璧をめざさないほうがいい
 完璧なんて不自然なことだと
 うそぶいているほうがいい

 夫婦のありようについての言葉ではありますが、もっと幅広く人間全体について当てはまる場合もありそうだと思いませんか。まじめな人ほどこの「完璧の呪縛」にとらわれがちです。ということは、三輪田生には当てはまる人が多いはずです(よね)。
 特に今、入試本番に臨んでいるはずの高3のみなさんに送りたい詞です。入試で満点(完璧)は必要ありません。もちろんベストは尽くすにせよ、自分に出来ることを自分のペースで進めればよいのです。
(ちなみに「立派過ぎることは/長持ちしないことだと/気づいているほうがいい」というフレーズもあります。まだまだ先は長いですからバテないように気をつけましょう)

 正しいことを言うときは
 少しひかえめにするほうがいい
 正しいことを言うときは
 相手を傷つけやすいものだと
 気づいているほうがいい

 このフレーズも胸に響く人が多いのではないかと思います。現代社会においては「明快に自分の意見を述べること」を絶対的正義と捉える風潮がありますが、この言葉はそういう「欧米的価値観」に対するアンチテーゼである……と言ったらうがちすぎた解釈になるでしょうか。ただ、国際社会における様々な「主張」を聞いていると、この詞の持つ意味について考えずにはいられません。本当に大切なのは一方的に声高な「正義」を叫ぶことではなく、自分の「思い」を相手に受け入れてもらうことなのではないでしょうか。

 番組では「祝婚歌」だけでなく、吉野さんの様々な詩が多くの人々に静かな共感をもたらしている様子が紹介されています。下記のリンクで番組の内容すべてをテキストで読むことができますから、興味のある方はどうぞ。

 “いまを生きる”言葉 ~詩人・吉野弘の世界~

 今この社会で起こっていること。必ずしも事件だけではなく、時代の潮流や人々の意識の変化まで、これからの社会を担っていく皆さんが知っておくべきことは数多くあります。新聞・テレビ・ネットとSNS……。特定のメディアに偏ることなくアンテナを立てておき、多様な情報をキャッチした上で判断する。若いみなさんに必要なスキルだと思います。