卒業記念講演会(法政大学田中優子総長)

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たま鑑
昨日、高校生対象の卒業記念講演会がありました。
今年度は法政大学の田中優子総長にご講演をお願いしました。
法政大学は三輪田学園のお隣さん。(でも三輪田の方が古くからこの場所にあったのですよ!)
そんな御縁で、昨年から法政大学と正式に高大連携プロジェクトを締結して頂いています。
学部の先生方にご講演いただいたり、理科実験のご指導を頂いたり、
また、先週の土曜日には、法政大学で学ぶ留学生の方が来校、生徒たちと英語でディスカッションを行いました。
この他にも大学の施設見学をさせて頂いたり、様々な恩恵を頂いています。
私はこの高大連携によって、大学で学ぶとは具体的にどういうことかを知り、自分の進路決定につなげていってほしいと考えています。
今回の卒業講演に関しても、お忙しい先生なので難しいのではないかと心配しておりましたが、快くお引き受けくださいました。
開演前に控え室にご挨拶に伺ったところ、
「おひさしぶりです。」とお声をかけて頂いて、ちょっと嬉しくなりました。
昨年夏、高大連携調印式でお目にかかったことを覚えていてくださったのです。
あのときは涼やかなお着物をお召しでしたが、この日は落ち着いたグレーの訪問着に江戸好みの刺繍の帯をきりっと締めていらっしゃいました。



さて、この日の公演、タイトルは「自由を生き抜く実践知~今必要な能力と大学」。
現在の法政大学の取り組みを紹介しながら、これからの社会を生き抜くためのチカラとなる実践知についてお話くださいました。
これからの時代は今までの知識だけでは通用しない。
理想を持って、どんな変化が起きても自分で自分を磨き続けること。
変化は自分が成長するためのチャンスであり、自分の能力を育てるためにはどういう社会が望ましいか考え、行動する。
それが実践知となる、とお話しなさいました。

誰もが自由を生き抜ける持続可能な社会の実現。
そのために必要なチカラ・実践知。
これって、三輪田学園で育成しようとしているライフスキル5つのチカラに重複するところがとても多いなと感じました。
国際的に通用する学力形成のため語学力、国際感覚の育成と共に日本の文化や歴史を知ること。
論理的に物事を考えて協働して問題解決に当たること。
個々人の自由をそれぞれが追求したら社会全体の自由は実現しない。
そこに協調や対話、共感が必要なこと。
そして、基本的な自己肯定感をしっかり持って、自分自身の生き方を開拓していく。
つまり、法政大学の「実践知」と三輪田の「5つのチカラ」は同じということができるでしょう。

講演の後半は、田中先生のご専門の江戸時代から、現代に到るグローバリゼーションの流れについて。
日本には4期のグローバリゼーションの時期があると仰いました。
16世紀半ば、新しい航路、とりわけ太平洋航路の発見によって世界が1つに結ばれました。
この頃の日本は「銀」という資源を持っていたため、高度な技術が必要な産物は自国で生産せず、専ら輸入に頼っていました。
ところが太平洋航路の確立によって南アメリカの銀が世界に流通するようになると、日本の銀の価値は相対的に下がり、今度は輸出できる製品を作るために技術が発達するのです。これが江戸時代で、第1次グローバリゼーションの時期。
続いて明治維新が起きて、欧米を模範とした国家建設が始まります。
これが第2次グローバリゼーションです。
しかし資本主義の発達と共に帝国主義的海外進出が始まり、第2次世界大戦に突入、そして敗戦。
敗戦後はアメリカを基準とした国家再建が行われていきます。これが第3次グローバリゼーションです。
そして今、アメリカ中心の世界観が崩れつつある中で、多様な人々が共存していく日本へ。これが第4次グローバリゼーションであり、生徒たちが生きていくこれからの日本でもあるのです。

後半の江戸時代に始まるグローバリゼーションのお話、とても興味深く伺いました。
「豊かすぎることは能力を育てない」
確かに、そういう面があることは否定できません。
銀の価値が下がり、輸入に頼りきれなくなったとき、その技術を自分たちで学んで再現しようとした江戸の職人たちの気合いが、これからの日本にも必要なのではないでしょうか。

講演終了後、3人の生徒から質問が出ました。
田中先生は一つ一つに丁寧に答えてくださり、「いい質問ですねえ!」と褒めてくださいました。

田中先生は終始笑顔で、しかしきっぱりとした口調でお話しくださいました。
女性のリーダーとして、素晴らしい先生だなと、ますますファンなってしまいました。