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【白熱する読書】読書サークルクラブ卒業生寄稿vol.2

三輪田の風読書

三輪田の風読書

新年おめでとうございます。今年も、読書サークルクラブをよろしくお願いいたします。

【白熱する読書】第2回。

今回は、54回生の4人の寄稿を紹介します。

ちなみに、4人目のK/Cさんの文中にある「かめぞう」は、読書サークルクラブのマスコットキャラクターの亀の名前です。もともとは52回生が持ってきたぬいぐるみや陶器の亀だったのですが、部員の「かめぞう」愛があまりにも熱く、最近では、新歓の際に中1が「読書サークルクラブでは、書庫で亀を飼っている。」と誤解したほどです。

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「読書会で得た大切なもの」

今振り返ると読書会で得たものは多い。中でもその後の人生で貴重だと思えるのは、自分の気持ちを自分の言葉で表現する力と自分と異なる考えを受け入れる姿勢だ。

追分合宿での『車輪の下』の読書会で、結末に二つの解釈が出た。一方しか考えつかなかった私は衝撃を受けつつ持論の根拠を示したが、もう一方の主張にも説得力があった。議論は白熱し、結論は出ずに終わった。

長い人生の中では人と価値観が合わなかったり、意見が対立したりすることもある。読書会での経験があるからこそ拙くても自分の気持ちを伝える努力と、相手の話を聞き、気持ちを汲み取る努力ができるようになったと思う。

T/A

大学・大学院で西洋史を学び、旅行会社でヨーロッパ方面を担当。現在は育児に奮闘中。今は絵本を齧って食べちゃう娘と将来、家族で読書会をするのが夢。

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「初めて出会った強くて美しい人について」

スカーレット・オハラ。私が初めて出会った真に強くて美しい人。ご存知、『風と共に去りぬ』の主人公である。彼女に出会ったのは20年前の夏のこと。強烈に惹かれた。当時はそれが何故なのか上手く表現できなかったけれど、35歳になる今改めて考えてみたい。

よく言われるように、スカーレットは嫌な女か。私はそうは思えない。寧ろ一層、彼女の強さと美しさに惹かれてしまうのだ。理由は「自分はどうありたいか」という彼女の心と行動に曇りが無いからだろう。そして今ならわかる。対に描かれているのはメラニーではなく、実はアシュレイ。一見正しそうなことなんて、彼女にはどうでもいいのだ。そんな大人でありたい…なんて、ちょっと極端かもしれないけど、彼女は私のロールモデル…のひとりだと、やはり思う。

T/A

大学では『源氏物語』を。現在は某大手広告会社で企画職に従事しながら、ファッションテクノロジーの会社を経営。

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「女流作家の作品を読んで」

私にとって最も印象的だった読書会のテーマは「女流作家」である。特に、19世紀英国の女性作家・ブロンテによって書かれた『ジェーン・エア』という作品は、内面に秘められた女性の強さを実感できる作品だったと思う。

物語の主人公ジェーンは、過酷な環境の中でも自分を見失わず、驚くべき行動力と忍耐強さを備えた女性として描かれている。

いざ自分が社会人になってみると、女性として生きることの難しさを感じることもある。しかし、信念を曲げず、困難な状況に立ち向かうことは、どの時代に生きていても大事だと思う。

私はこの小説を通じてそれを学んだ。

H/J

事務職。旅好き。海外で人気のあるファッションや音楽への関心は尽きない。

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「世界を見る、旅する『読書』」

読書とは旅である。旅する場所は、誰かの思考であり、本の世界そのものであり、そして時に自身の内面だったりする。読書サークルではその旅で見たもの、感じたものを存分に誰かと共有できた。より深く、広く、本の世界を旅することができたのである。

当時読んだもので今でも強く記憶に残っているのは、『クラバート』と『かかし』という作品だ。当時の私にとって、言葉だけで描かれたその世界はなかなかに強烈なものだった。そういう世界もあるのか。そう思う人もいるのか。そう感じても、良いのか。本の文章から、感情にようやく形を与えられたことも多くあった。それが救いになることも。

「唯一の正解」を求めるのではなく、その世界をどう見たか、何を感じ取ったのかを話し合い、まとめていく場。それは、もしかしたら自分自身を見つけていくための大切な旅の一つだったのかもしれない。

K/C

かめぞうに導かれて入部。三輪田時代も現在も、本(と虫)は日々の糧です。現在は某学習塾にて講師をしながら、昨年度、生物の書籍を上梓させていただきました。

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