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100年前のお守り

たま鑑(たまかがみ)

たま鑑(たまかがみ)

薬師寺でいただいた護符(左側が表、右側が裏)
薬師寺でいただいた護符(左側が表、右側が裏)

三輪田では、例年6月に中高の修学旅行を実施しています。

今年はもちろんコロナ禍でこの時期には実施できず。

コロナ終熄の目途はなかなかたちませんし、

東京が10月からGo Toに入り、さらに感染が広がりやすい季節に入ると、かえって実施が難しくなる?と心配しながら、

それでもなんとか修学旅行は実施したいと考えて、高校は11月、中学は1月に時期を移して計画をしています。

 

三輪田が修学旅行にこだわるのは、本物にふれるということを大切にしたいから。

高二で出かける関西旅行では、多くの寺社を見学し、お坊さんにご講話をいただきます。

また、事前の学習もしっかりして、高校生なりの文化の理解度をもって、旅行にいくのです。

これからのグローバル社会で、自国の文化をしっかり理解し、表現できるというのはとても大切になってくると思います。

自国の文化を知識として記憶にとどめるのではなく、経験として味わってほしい。

全ての三輪田生に、この経験を通して自国の文化をしっかり受け止めてほしいと考えています。

 

三輪田の修学旅行は歴史が長く、1905(明治38)年から始まっています。

しばらくは日帰りの遠足のようなものでしたが、1910(明治43)年からは宿泊を伴う旅行となったそうです。最初の修学旅行は日光への1泊だったとか。

1924(大正13)年には現在の高校修学旅行の原型である、伊勢・関西修学旅行が始まりました。7泊8日(車中2泊含む)の長い旅行でした。

この後、高校生の関西修学旅行は、空襲が激しくなった戦争中の一時期を除き、現在までずっと続いています。

私自身、この関西旅行での思い出は、在学時の記憶の宝物となっています。

 

他校では旅行の行き先を変更したという話も聞きますが、それではこの修学旅行の本来的な目的が変わってしまいます。

というわけで、この由緒ある関西旅行を、なんとか今の高二の生徒にも経験してもらうために、とにかく状況を見てこようと思い、

27日、28日の2日間、修学旅行で伺う寺社や生徒が立ち回る先を駆け足で見て回りました。

27日に訪れた京都は、日曜日だったこともあり、予想以上の混雑でした。

生徒がよく行く清水寺付近は「例年の8割以上には戻ってきている」と地元の方が仰っていました。

祇園や四条河原町あたりの賑わいも、以前と大きく変わっていないように感じました。

一方、奈良は人もまばらな状況で、中高生の修学旅行の生徒の姿はほとんどなく、唐招提寺で会った中学生らしき5名のみ。

あとは近郊の小学生の姿が見られる程度でした。

各寺院の感染対策はかなりしっかりしており、

手指の消毒はもちろん、入山時の検温など、学校と同じような状況です。

そんな中で、薬師寺のお坊様に直接お目にかかっていろいろ伺うことが出来ました。

薬師寺では例年ご講話をいただいていますが、いつも200名くらいが一緒にお話を伺っていた広間は定員80名に限定。

とすると、三輪田はその倍の人数なので使えない。

代わりに大きな倉庫を改造して、そこでご講話くださるとのこと。

そこは奈良県が肝いりで用意してくれているそうです。

東塔の工事の木材などを保管していた場所ということですが、見学したときには改造中で、換気にも配慮された充分な広さのある空間でした。

さて、その薬師寺のお坊様が、記念にとお守りをくださいました。

中には赤い護符が入っており、「除疫病守護」の文字が。

お話によると、約100年前大正時代にスペイン風邪が大流行したとき、お寺でこの護符を作り、参拝する信者に授けたとのこと。

その時の版木が今回見つかったので、再び刷り直し、コロナよけ?のお守りとして配っているとのことでした。

江戸時代の文献にも、疫病が流行すると赤い護符を掲げている様子などがよく見られ、その名残が今でも続いているのだなと感心しました。

この護符の効力を信じて、修学旅行に旅立つことが出来るように祈っています。