小さな図書館から大きな世界へ
たま鑑(たまかがみ)
たま鑑(たまかがみ)

昨日、図書館講義室で星加先生の講演会がありました。
星加先生は図書館で司書のお仕事をしてくださっている先生です。
いつも話していますが、三輪田の図書館は校内の自慢したいポイントの一つ。
蔵書は54000冊以上、哲学書から文学書、語学はもちろん数学、天文学や建築設計に至るまで、かなりの本が収められています。
星加先生はそんな図書館でもう一人の司書教諭五十嵐先生と一緒に図書館の環境を整えてくださっていますが、実はものすごい経歴の持ち主。
今日はその経験を生徒たちに話してくださいました。
星加先生は2001年から2003年まで、青年海外協力隊の隊員として、アフリカのタンザニアで学校図書館やこども図書館の整備のために派遣されていた、とのことです。
2001年と言えば、アメリカで9.11のテロ事件があった年。
タンザニアのアメリカ大使館も襲撃されたりしていましたから、そんな中、図書館の整備や子どもたちに本を読む楽しさを広めるために若い女性が単身アフリカに向かうとは、驚くべきことです。
先生は以前から青年海外協力隊で自分の持つ図書館学の知識と技術を途上国で役立てたいと考えて、計画もなさっていらしたようです。
海外派遣の面接で、図書館関係の派遣先はブルガリアとタンザニアのどちらかと言われたそうですが、迷わずタンザニアへ。
タンザニアの公用語は英語とスワヒリ語。
行く前の研修でとにかく「水」という単語だけは絶対スワヒリ語で覚えておけと言われたそうですが、この意味は現地で実感したそうです。
アフリカの多くの国々では、安全な水を手に入れることが難しいところがたくさんあります。SDGsの中にも「安全な水を世界中にに」という目標があります。
実際海外に行くと、途上国でなくても飲料水はお店で買って飲むもの、という国が多くあります。
日本に住んで、水を気にせず使うことが出来る私たちには想像もできませんね。水の豊かな国に住むありがたさを改めて感じます。
タンザニアの国境近くの街で仕事を始めた星加先生。図書館で一番読まれる本は教科書だったとのこと。
教科書を購入できない家庭の子どもたちは、図書館で教科書を借りて書き写して使うそうです。
しかし、子どもたちの目はきらきら輝いていて、日本に戻ったとき、人々の目に同じような輝きがないことにちょっとがっかりしたそうです。
私たちの生活は、水にしろ、本にしろ、かなり満ち足りていて(程度の差はあるでしょうが)、それがあたりまえになっています。
タンザニアの子どもたちは、むしろ不足や不自由の中にあるからこそ、新しい学びや日々の生活に好奇心をもって、目を輝かすのではないでしょうか。
とすれば、私たちに必要なのは「足るを知る」ことでは?
そうすることで、目の輝きをとりもどせるかもしれません。
小さな図書館から大きな世界へ。
とても素敵な講演会でした。