11月21日(金)、早稲田大学教育学部国語国文学科教授の金井景子先生を講師にお迎えし、卒業記念講演会をおこないました。これから社会に向かって巣立っていく高校3年生だけでなく、高校1年生、2年生もお話を伺いました。
会の前半は4人1組でコントを創作するワークショップをおこない、25分の創作タイムの後、全グループがコントのタイトルを発表しました。このワークショップは、普段から先生が大学でもなさっているもので、「すでにある〈場〉」ではなく、「新たな〈場〉」を創るとき、言葉はどんな役割を果たすだろうか、という今回の講演のテーマにつながるものでした。
金井先生は現役の研究者、大学の先生でありながら、福島県天栄村で米作りをおこなっています。東日本大震災に伴う東電福島第一原発事故による被害から村が立ち直っていく過程をビデオにとり、映画を上映して全国をまわった経験もお持ちです。また、様々な事情で学校や仕事をお休みしている若者に声をかけ、自身の管理する田んぼで一緒に汗を流していらっしゃいます。
また、先生は勤務する大学の近くで、東北の食材を提供する飲食店「ごはん屋たまり」も経営なさっています。「たまり」とは「田まわり」、田んぼの生育状況を見てまわることです。先生は「たまり」という言葉を農家の女性から教わったとき、普段自分がおこなっている教育活動も「たまり」なのではないか、と感じたそうです。
先生は、若者たちと農業をおこなった経験から、学校名や就職のことだけを考えて進路を決めるのではなく、自分自身が何をしたいか、何にワクワクするか、じっくり考え、言葉にすることが大切であるとおっしゃっていました。挑戦がうまくいかなかったときには、その経験は種になって後で芽を吹くと考えよう、とも教えてくださいました。
生徒たちがそれぞれの進路を考えるうえで、とても示唆に富むお話でした。